洗剤はトイレつまり解消に効果が期待できない

一般家庭にある洗剤を使えば、トイレットペーパーなどのトイレつまり効果がありそうな印象ですが、実はトイレつまりに洗剤はあまり効果が期待できません。

原因によっては、詰まった状態で放置することで改善するトイレつまりもあるため、全く効果がないわけでは無いかもしれませんが、初めからもっと効率の良い「トイレつまり解消法」を試されることをオススメいたします。

洗剤以外のトイレつまり解消法

ラバーカップ

「すっぽん」などの呼び名で知られるトイレつまり解消道具です。柄の先端に付いたゴム製のカップを便器の排水口に押し当てて、中を真空にした状態で数センチほど勢いをつけて引きます。それにより排水口内の空気圧が変化し、トイレつまりの原因となっているものが動いて流れていくという仕組みです。

ラバーカップには和式用と洋式用のほか、節水トイレ用や小便器用などさまざまな種類がありますので、間違えないようにしましょう。

真空式パイプクリーナー

シリンダーの先端にゴム製のカップが付いている道具で、使い方はほぼラバーカップと同じです。しかしラバーカップよりも吸引力が強いことから、より効果的にトイレつまりを解消させられます。

同じくカップのサイズや形状がさまざまですので、買うときは間違えないように気をつけましょう。

ワイヤーブラシ

ワイヤーブラシは排水管を掃除するための道具で、トイレ用もあります。湾曲した排水管の形に合わせて曲がるワイヤーと、その先端部分にブラシやスクリュー状の金属パーツが付いています。排泄物などを砕いたり、トイレットペーパーを押し込んだり、ブラシに引っ掛けて引っ張り出したりなど、さまざまな方法でトイレつまりを解消します。
ただし、ワイヤーブラシは便器に金属傷をつけてしまう可能性があり、一度傷がつくと取れなくなりますので、プロとしてはあまりオススメはしていません。

流し用、お風呂用などさまざまな商品がありますので、選ぶときはワイヤーの長さや先端部分の太さ、用途などをよく確認しておきましょう。

トイレつまりを解消できる可能性のある洗剤は？

初めにお伝えしました通り、洗剤によるトイレつまりはあまり効果的では無いためオススメはしておりませんが、トイレつまりを解消できる可能性のある洗剤と、その使い方をご紹介いたします。

「洗剤」といってもいろいろな種類がありますので、まずは「トイレつまりに効果がある洗剤とは何か」また「どんな原因に対して効果があるのか」を整理しておきましょう。

中性洗剤｜トイレットペーパーなどのごく軽いトイレつまり

ご家庭で使用する洗剤のうち、中性のものといえば食器用洗剤です。普段のお掃除で使用するトイレ用洗剤の中にも中性のものがあります。酸性洗剤やアルカリ性洗剤と比べると洗浄力が低く、解消できる可能性があるのはトイレットペーパーやティッシュペーパー、流せるおそうじシートなど水に溶けやすいもの、あるいは排泄物などによる軽度のトイレつまりです。

酸性洗剤｜尿石によるトイレつまり

酸性洗剤には、アルカリ性の汚れを中和して落としやすくする効果があります。トイレつまりの原因となりうるアルカリ性の汚れといえば、尿石や水垢などです。例えば男性用小便器などは、尿石が頑固にこびりついて水が流れにくくなってしまうことがあります。そんなときに酸性洗剤を使うと解消できる可能性があります。

アルカリ性洗剤｜トイレットペーパーや排泄物などの重度なトイレつまり

アルカリ性洗剤は「塩素系（漂白剤）」と書かれていることもあります。黒ずみや黒カビを落とせるほど洗浄力が強く、トイレつまりの原因でいえば大量のトイレットペーパーや排泄物などに対して解消できる可能性があります。
また、たんぱく質を溶かす作用があるため、髪の毛や嘔吐物などを溶かす可能性もあります。

中性洗剤を使ったトイレつまり解消法

作業前の準備

• 食器用中性洗剤
• 50℃程度のお湯とバケツ
• 炊事用ゴム手袋
• 汚水を入れる容器
• ペットボトル（なければ紙コップ等）

解消の流れ

1. 便器の水位が高いときは、ペットボトルや紙コップを使って汚水を容器にくみ出す
2. 50℃程度のお湯を沸かしてバケツに入れておく
3. 排水口に、食器用中性洗剤を100cc程度入れる
4. バケツにくんだお湯を便器に注ぎ、20〜30分ほど待つ
5. 水位が下がっていたら「小」のレバーを回して最終確認をする

まずは便器の水位を、普段溜まっているレベルまで調整しましょう。また便器は陶器製のため、熱湯を注ぐと割れるおそれがあります。高くても50℃程度に留めましょう。

なお、お湯を使用するのはトイレットペーパーなどをふやけやすくする狙いがあるためです。しかしながら、水よりもお湯のほうがふやけやすいという確かな根拠はありませんので、水を使っていただいても構いません。

20〜30分待っても水位が下がらないときは、重度のトイレつまりもしくは、別の原因が考えられます。無理をせず別の方法を選ぶか、トイレ修理のプロに相談しましょう。

酸性洗剤を使ったトイレ（小便器）つまり解消法

作業前の準備

• 市販のトイレ用酸性洗剤（サンポール、デオライト等）
• トイレ掃除用のブラシ
• 炊事用ゴム手袋
• バケツ1杯の水
• 目皿を入れる容器
• 汚水を入れる容器
• ペットボトル（なければ紙コップ等）

解消の流れ

1. 便器に水が溜まっている場合は、ペットボトルや紙コップを使って汚水を容器にくみ出す
2. 目皿を外して容器に入れ、酸性洗剤をかけて所定の時間放置する
3. 便器の排水口にも酸性洗剤をかけて、所定の時間放置する
4. トイレ掃除用のブラシを使って、目皿と排水口をこすり洗いする
5. バケツの水を流して洗剤をキレイに洗い流し、目皿を戻す
6. 問題なく水が流れるか最終確認をする

上記は男性用小便器が尿石でつまってしまったときの解消方法です。目皿は割れやすいため、落とさないように取り扱いに注意しましょう。また酸性洗剤はメーカーや商品によって使い方（放置する時間等）が異なる場合があります。詳しくはパッケージをご覧いただき、用途や使い方をご確認ください。

アルカリ性洗剤を使ったトイレつまり解消法

作業前の準備

• 市販のトイレ用アルカリ性（塩素系）洗剤
• 炊事用ゴム手袋
• バケツ1杯の水
• 汚水を入れる容器
• ペットボトル（なければ紙コップ等）

解消の流れ

1. 便器の水位が高いときは、ペットボトルや紙コップを使って汚水を容器にくみ出す
2. 排水口にアルカリ性洗剤を適量投入し、所定の時間放置する
3. 水位が下がっていたら「小」のレバーを回して最終確認をする

アルカリ性洗剤は、水で希釈するタイプやそのまま使用できるタイプがあります。希釈する場合は、水の量に対して原液をどの程度加えるかなど、分量を守るようにしましょう。また放置する時間もメーカーや商品によって異なりますので、詳しい使い方はパッケージをご確認ください。

洗剤を使ったトイレつまり解消の注意

洗剤でトイレつまりを解消する方法そのものは難しくありません。ですが、洗剤にはさまざまな成分が含まれていますので、取り扱いに注意しなければならないこともあります。

酸性洗剤とアルカリ性（塩素系）洗剤は絶対に混ぜない

酸性洗剤とアルカリ性洗剤・塩素系漂白剤が混ざると、人体に有害なガスが発生してたいへん危険です。絶対に混ぜないように注意しましょう。混ぜた意識がなくても、たとえば「酸性洗剤を使ったあと十分流しておらず、アルカリ性洗剤を立て続けに使ってしまった」という場合は危険です。

なお後述する「クエン酸」も強い酸性を示すアイテムですので、アルカリ性洗剤と一緒に使ってはいけません。

これらはくれぐれも混ぜないようご注意いただくとともに、ドアを開放して換気扇を回すなど、通気性を確保した状態で作業に当たりましょう。

パッケージの注意書きを隅々まで読む

酸性洗剤やアルカリ性洗剤は、必ずトイレに使用できる商品かどうかを確認しておきましょう。用途外に使用すると、便器を傷めたり排水管を傷めたりなど、想定外のトラブルが発生するおそれがあります。

保護具を装着する

刺激が強い酸性洗剤やアルカリ性洗剤は、皮膚や粘膜に触れると危険です。ゴム手袋を着用し、可能であればマスクやメガネといった保護具も装着しましょう。

洗剤では解消できないトイレつまりの原因も把握しておく

• 相当な量のトイレットペーパーなど
• スマートフォンやおもちゃ
• おむつや生理用品
• ペット用のトイレ
• そのほか固形物や水に溶けないもの

洗剤を使っても解消できないトイレつまりの原因があります。たとえばいくら水に溶けるとはいえ、相当な量のトイレットペーパーなどは洗剤でのつまり解消は期待できません。またスマートフォンなどの固形物、おむつなどの水に溶けないものが原因だった場合も、同様に洗剤では効果が期待できません。これらがトイレつまりの原因だったときは、別の方法を選ぶかトイレ修理のプロに相談しましょう。

重曹とクエン酸でもトイレつまりが直せる？

重曹もクエン酸も天然由来の成分で、それぞれ「弱アルカリ性」と「酸性」の性質を持っています。これらを使っても、トイレつまりを解消できる可能性がありますが、大きな効果は期待できません。

重曹とクエン酸を混ぜることで発泡する

重曹とクエン酸を排水口に投入してぬるま湯を加えると、反応して炭酸ガスが発生します。細かな気泡によって、トイレットペーパーなどのつまりが溶けやすくなる、排泄物などが崩れやすくなるといった可能性があります。

洗剤同様、大きな効果は期待できない

気泡によるつまり解消の効果はゼロではないかもしれませんが、洗剤同様に強力ではありません。
また気泡といっても微細なものですので、大量のトイレットペーパーを溶かしたり排泄物を崩したりするほどの効果は期待できません。

試してみるのもよいですが、思ったほどの効果が得られなかった場合は時間や費用が無駄になってしまうかもしれません。可能であれば、最初から別の方法を選ぶかプロに相談することをおすすめします。

洗剤を使ってもトイレつまりが解消しないときは？

悪化する前にプロに相談を

一度ですんなり解消してくれればよいのですが、判断に迷うのが「もう一度試せば解消するのではないか？」「少し解消されたような気がする」という、微妙な結果だったときです。

たしかに再チャレンジすれば解消されるケースもあるでしょう。

ですがまったく効果がなかった場合、また別の方法を考えて対処しなければなりません。そもそも選んだ解消方法が誤っており、トイレつまりを悪化させてしまうことも想定されます。

そうなるとトイレを使えない時間が延びてしまうだけでなく、便器を取り外したり排水管の奥まで掃除が必要になったりなど、修理費用も高額になる可能性も出てきてしまうのです。

「洗剤を使ってみたが、ほとんど効果が見られなかった」
「ラバーカップなどの道具を持っていない」
「トイレつまりの原因がわからず対処方法も判断できない」
「とにかく一刻も早くトイレつまりを解消させたい」

こうした場合は、できる限り早くトイレ修理のプロに相談することをおすすめします。

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